サッカーリオデジャネイロ五輪代表が決定。いまこそ振り返る。J-22選抜の貢献
J-22選抜は2014年にリオ五輪を目指す若手で選抜された連合チーム。
J3に参戦したものの思うように成績が振るわず、多くの批判を受け2015年に解散しました。
しかしその後の各セカンドチームのJ3での大苦戦。J-22選抜経験者の選手としての成長。これらを鑑みた場合今一度J-22選抜を評価すべきではないかと思い、この場を設けました。
弱すぎて強化になっていないという批判自体が間違いだったのではないか
世間一般には失敗とされたJ-22選抜。
しかし入れ替わるように参入したJ1強豪クラブのセカンドチーム。
このセカンドチームがJ3で大苦戦をしています。
16チーム中11位にガンバ大阪U-23。12位にセレッソ大阪U-23。13位にFC東京U-23。しかもこのチームはU-23とは名ばかり。出場機会を減らしている中堅やベテラン選手も多く出場しているような状況なのです。(7月2日 現在)
にもかかわらず成績は低迷しているのです。
J-22選抜時代に選抜が弱すぎて強化になっていないという批判が多かったのですが、それは間違い。
強豪チームのセカンドですら大苦戦する。それがJ3のレベルなのです。
J3から昇格したレノファ山口や町田ゼルビアが躍進しているように、昨年ツエーゲン金沢が躍進したように。
J3の上位クラブはJ1を狙えるような実力がある。
それを認識しなければいけないのです。
つまり厳しいJ3という環境の中で必死に揉まれていったという表現こそがJ-22選抜に対する正しい評価と言えるのです。
J-22選抜出身選手の選手の成長を見逃してはならない
では実際にJ-22選抜を経験した選手がどうなったか?これは
@k_ism_12様のJ-22選抜読本という書籍が参考になります。
上記のようにJ-22選抜に出場した全選手の代表まで含めた全履歴が掲載されております。
ではここでメンバーのおさらいを
▼GK
櫛引政敏(鹿島アントラーズ)
中村航輔(柏レイソル)
▼DF
塩谷司(サンフレッチェ広島)※オーバーエイジ枠
藤春廣輝(ガンバ大阪)※オーバーエイジ枠
亀川諒史(アビスパ福岡)
室屋成(FC東京)
岩波拓也(ヴィッセル神戸)
植田直通(鹿島アントラーズ)
▼MF
遠藤航(浦和レッズ)
大島僚太(川崎フロンターレ)
原川力(川崎フロンターレ)
矢島慎也(ファジアーノ岡山)
中島翔哉(FC東京)
南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)
井手口陽介(ガンバ大阪)
▼FW
興梠慎三(浦和レッズ)※オーバーエイジ枠
久保裕也(ヤング・ボーイズ/スイス)
浅野拓磨(サンフレッチェ広島)
■バックアップメンバー
▼GK
杉本大地(徳島ヴォルティス)
▼DF
中谷進之介(柏レイソル)
▼MF
野津田岳人(アルビレックス新潟)
▼FW
鈴木武蔵(アルビレックス新潟)
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まずこの中で注目すべきはガンバ大阪の井手口陽介です。。
2014年にはJ1ではほとんど出番がなかった井手口ですがJ-22選抜とU-19日本代表を兼務することで出場機会を確保していきます。
2015年に入るとJ-22の琉球戦79分。藤枝戦にフル出場すると今度はJ1での松本戦に62分出場します。その後もJ-22選抜で試合に出続けた彼に転機が訪れたのが8月12日のリバープレート戦。ここで90分フル出場を果たすと、以後はほとんどの試合にベンチ入り、途中出場を中心にガンバのトップチームで実戦を経験出来るまでになりました。
ガンバでの出場機会が増えるにつれJ-22選抜の方には呼ばれなくなりましたが、井手口陽介選手の成長にJ-22選抜が貢献したことは紛れもない事実と言えるでしょう。
また、バックアップメンバーの中谷進之介の存在を忘れるわけにはいきません。
中谷は2014年にはトップチームでは出場機会がほとんどなく、5~8月にかけてかなりの出場機会をJ-22選抜で獲得することになります。
するとシーズン終盤に今度はJ1のレイソルトップチームでフル出場を続けチームの連勝に貢献するまでになりました。
2015年になると浦和戦、広島戦とJ1で経験を積みましたがその後は出場機会はなくJ-22選抜で何度もフル出場を経験。J1で経験したことをJ-22選抜でさらに磨き上げる形になりました。
すると2016年に入ると完全にレギュラーを奪取し12節を除く全試合にフル出場し、バックアップメンバーとして五輪に臨むことになりました。
J-22選抜の貢献がきっとこれから注目されるようになる
実際に2015年の町田戦のメンバーを見てもわかるように若手育成の意味でJ-22選抜の功績は決して小さくありません。
Jリーグ・アンダー22選抜 2015マッチレポート | 9月23日 vs 町田 | Football LAB ~サッカーをデータで楽しむ~
また五輪代表メンバーからは漏れたもののアジア予選に突破した選手なども
含めればかなりの選手がJ-22選抜で経験を積んでいます。
五輪に縁がなかったものの現在クラブで主力として活躍しているレイソルの中川寛斗や喜田拓也などの選手も存在します。
(特に喜田はプロ入りすぐの大切な時期にJ-22選抜で経験をつみ、2015年にはマリノスのレギュラーに定着している)
巻き起こったJ-22選抜不要論。弱く不毛といわれたJー22選抜。
しかしその2年間は本当に不要な時間だったのでしょうか?
リオ五輪、そしてさらに先の未来。
確かにあったJ-22選抜の功績。それはいつの日か見直される日が来るのかもしれません。