浦和レッズのペトロビッチ監督が松本山雅FCにリスペクトに欠いた発言をしたことについて思ったことを書く
浦和レッズ対松本山雅FC戦。試合終了後のペトロビッチ監督の発言を聞いてもしかしたら浦和レッズは今年も優勝できないかもしれない、そう感じた。
未だリーグ戦無敗。このままいけば優勝は間違いないだろう。
しかし僕は彼の発言を聞いて・・・少し考えたあと本当にそう思ってしまった。
試合終了後の浦和レッズのペトロビッチ監督の発言を要約すると
「今日のゲームはサッカーというよりバレーボールだった。今年もう松本と対戦がないことは私にとってハッピーだ。6バック・・・いや前半は8バックだった。
後半は芝の上というより空中の上にボールが浮いていることが多かった。我々も相手に付き合ってしまった。内容について特にコメントはない。勝利できた事が全て。今日の試合に不満はあるが、相手あってのサッカーだ。今日はサッカーといいがたい内容だったが、今後は相手もサッカーをしてきてるれることを望む。」
概ねこのような感じだった。
松本山雅に所属しているのはどういう選手か
この発言は相手チームという以上に相手の選手へのリスペクトが足りない。
なぜなら松本山雅は松本山雅のサッカーに合った特徴を持った選手を集めている。「技術はないけど高さがある」とか「技術はないけど頑張れる」とかそういった特徴だ。
そして彼らの多くが所属チームで出番がなかった、もしくははるかに下のカテゴリから這い上がってきた選手なのだ。
松本山雅のサッカーをリスペクトしないことは松本山雅の選手をリスペクトしないということ
(その1から) サッカーってやっぱり集団競技だからサッカー選手はチームによっては全く活躍できなかったりするんだよ。松本の選手は松本だから活躍できる選手がたくさんいるんであって、それを否定するってことは頑張っているその選手たちを否定するってことなんだよ。
— SR (@sr2460) 2015, 7月 12
twitterでも書いたがサッカーは集団競技である。
そして戦術と自分の特徴が合わないと、名のしれた選手でも活躍できないということはよくある。
ましてや一般的には能力的に「厳しい」と思われている松本山雅の選手たちである。
そのような選手たちを反町監督が見出し「彼らが輝けるサッカー」を提供した。これは素晴らしいことなのではないのか?
彼らは松本山雅というクラブだからこそ日本最高峰のJ1という舞台で、自分たちの力を証明するとこができるのだ。
よってそのサッカーをリスペクトしないということはそのサッカーの体現者である選手達をもリスペクトしないということと同じなのだ。
もちろん今のままでは山雅は厳しい。もっとボールを動かせるようになる必要がある。その部分を少しでも向上させ、さらに成長させてやらなければならないということも分かる。
しかしそれは彼らのやっているサッカーをリスペクトしなくて良いという理由にはならないのだ。
指導者はサッカー選手の才能を潰しているという自覚を持つべきである
以前ヴァンフォーレ甲府やFC東京で監督をつとめた城福監督がこのようなことを言っていた。
「指導者は自分の信じるサッカーを貫くときにそのサッカーに合わない選手たちの才能を潰しているという自覚を持たなくてはいけない」
僕もそう思う。「自分達のサッカー」のためにその選手が持つ才能を発揮できないということは絶対にある。
試合に出ていない選手、戦力外にした選手。引退した選手。選手たちの可能性を指導者が潰しているのだ。
だからこそ城福監督は相手チームを選手をリスペクトする。
2013年。彼はこの年降格した僕たちに「湘南ベルマーレに勝てたのなら強豪といえるクラブにも必ず勝機はある」と言ってくれた。
ペトロビッチ体制で本当に優勝できるのか?
ペトロビッチに自分の指導が選手の才能を潰しているという自覚はあるだろうか?
試合に出ていない選手。出場機会の少ない選手。浦和レッズにおいて彼らのモチベーションは保たれているのだろうか?
優勝するにはチームの一体感が必ず必要になる。試合に出ている選手も出ていない選手も自分がやれることを高いモチベーションでやり抜かなければ優勝は絶対にできない。
2014年のホーム最終節に湘南ベルマーレのチョウ・キジェ監督は言った。
「ピッチに立つ権利を得ようとしていた、残念ながらピッチに立たせられなかった、その選手たちも、それ以上に僕は誇りに思います。だから彼らを褒めてあげて欲しい。彼らのことを認めてあげて欲しいと思っています。」
ペトロビッチは選手を本当にリスペクトしているか?自分が選手の才能を潰していることを自覚しているか?
戦力も勢いもこのまま首位で走りきりそうな浦和レッズ。
しかし本当にチームはひとつになっているのだろうか?それは僕には到底わからないことだ。
だが僕にはなにか、なにか大きな落とし穴があるような気がしてならないのだ。
参考