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強いからではなく・・・。(7)

2000年に「湘南」になってから育ててきた選手たちが、今それなりに揃ってきているのです。
菊池、遠藤、鎌田、猪狩、馬場・・・。


12年かけて育て上げた彼らを使える時期がようやくやって来たのです。



そして彼らで勝負してみることによって、これまで12年間我々がやってきたことが正しかったのかどうかの検証もしたいと考えています。


もしも結果が出ないならば「育成型クラブ」を目指してやって来たこと自体が間違いだったと捉えなけえればならないかもしれない。


-うまくいかなければ、「育成型」を諦めて、経営的にリスクの少ない「期限付き移籍型」にかじを切ることもあり得るということですか?


そういう判断をしなければならない可能性もあるということです。




これはベルマーレがシーズン前に出すハンドブックから抜粋したものです。99年に存続危機を乗り越えたものの、資金力の乏しくなってしまったベルマーレは、育成型クラブにかじを切っていました。

しかし毎年選手を放出するベルマーレにそのようなイメージはありませんでした。良い若手が育つという印象も僕にはありませんでした。


僕自身、実はこの記載についてシーズン終了後に初めて知りました。

ベルマーレの運命を決めるシーズンだったんだと、今でも背筋が凍ります。



そんなベルマーレの未来を決める重要なシーズン。

実績のない若手たちがピッチで躍動します。
それは驚き以外の何物でもありませんでした、
専門誌だけではなく、サポーターの前評判も著しく低いシーズンだったからです。

ベルマーレで指導者としての実績を積んだチョウ監督の元、チームは快進撃を続けていました。ベルマーレで育った若い選手たちは「湘南スタイル」を体現しました。
湘南ベルマーレになって10年以上経って、こんなにいい選手たちがベルマーレで育っていたことを僕はまるで知りませんでした。

ユース出身以外でも新卒で獲得した、高山、永木、岩上。
無名の韓国人だったハン・グギョン。
彼らもベルマーレの育成の結晶なんだと思います。


そしてなにより前に前に進むアグレッシブなスタイルが戻ってきました。
失点が多く、粗削りで、昇格チームの条件から外れていたように思いましたが、それでも見ていて面白いサッカーに変わりはありませんでした。

この年は京都と昇格争いを繰り広げていましたが、
運営面でとても印象深い出来事がありました。
シーズンも終盤を迎えたある日。
京都の試合と湘南の試合が共に台風で順延になりました。
その際に湘南の試合は次の日にすぐ行われたのですが、京都は終盤に過密日程をこなさなくてはいけなくなりました。
これは京都にとって、痛手だったと思います。
この年はこの時のベルマーレの運営の迅速さが運命を分けたと今でも思っています。
湘南ベルマーレになって10年以上たっていろいろな部分が少しづつ成長しているんだと感じました。

最終節、町田戦で京都を勝ち点1差でかわし、湘南ベルマーレは二度目の昇格を果たすことになります。3-0での完勝はアグレッシブな「湘南スタイル」そのものでした。
またこの年、長年ベルマーレを支えてくれた坂本が引退したのも、一つの時代の終わりを告げていたような気がしました。

そして僕自身もベルマーレというクラブの強さ以外の部分に、今まで以上に惹かれるようになっていました。


僕は2013年のシーズンが始まる前に、馬入の練習場でフットブレインの取材を受けています。
(テレビで使われることはありませんでしたが)


-2013年のベルマーレに何を期待していますか?


「ベルマーレらしさをJ1でも発揮してほしい」


残留してほしい。勝ってほしい。
そんなことより僕は、ベルマーレで育った選手たちが、日本最高峰の舞台でベルマーレの理念を体現することを願っていたんだと思います。