今日は超久しぶりのゴールキーパー分析をやろうと思います!!!
今回分析するのはこのシーン。
このシーン。スタジアムで敵チームのプレーなのに超興奮しちゃって、「あの状況で前に出たか!さすがすごい!」とか言いまくっていた記憶があります。
というわけでこのシーン。語らせてください!!
まずは前提条件
まずプレーの分析の前に前提条件を。
ゴールキーパーはボール(ボールホルダー)との体の向きが非常に重要になります。
ボール(ボールホルダー)に対して正対する。
これはすごく大事なこと。
1世代前ではありますが世界最高のゴールキーパーであるブッフォンのプレー集。
これだけボールを横に振られてもボールに並行して動いてシュートの瞬間にはボールにしっかり正対していますよね?
このシーンもそう。ボールと正対する。左右に均等に重心をかける。
ボールがすぐ近く。でも原則通りに動く。
相手がさらにドリブル。それに並行してブッフォンもポジション移動。
もちろん体は正対したまま。
ボールに正対しながら左右に均等に重心をかけ、ポジショニングも完璧。
コースありますか?これだけチャンスに見えてもブッフォンが完璧なのでシュートコースが存在しないのです。
例えば赤線で引いたような角度でボールと正対せずに立っていたら、ニア側が開いちゃうし飛ぶときの踏み込み足は後ろになるし良いことないですよね?
他にも正対するメリットってたくさんあると思うんですがとにかくこの原則をきっちり把握してくださいね。
この原則を踏まえてク・ソンユンのプレーを見てみましょう!
ク・ソンユンはスペースに対して正対していた
僕はこの画像を見たときに、「あっ!すでにすごい!」と思いました。
でもよく見るとこれって原則に反しています。つまりダメなはず。
解説しますね。
ボールに対して正対するためにはゴールキーパーはこの角度で立たなければなりません。
しかしクソンユンは下の矢印の角度にむいちゃってますね。
上の矢印を見ると目線はボールをしっかり見ているのに・・・。
一見ミスに見えるこの状況。でもこの時点ですでに彼のすごさが表れていたと思います。
結論から言います。
彼は1秒先の状況に対して正対しています!
現在の状況をもう一度把握してみましょう。
ボールホルダーを見てみましょう。ゴールまでの距離を考えても直接ゴールを狙われる可能性は低い。キックのフォームを見ても体は外に開きゴール方向を向いていない。
どこを狙っているように見えますか?
そう!画像を見てください。
ものすごく危険なスペースがDFラインの背後に開いていますよね?
ただこのスペースにチェックをを入れた時にク・ソンユンがなにをしていたのか理解できます。
彼はこのスペースに対して正対していたのです。
1秒先を予測し、この時点ですでに準備をしていたのです。
そしてベルマーレは予測通りにスペースを使って攻撃を仕掛けてきます。
ここで実はク・ソンユンは一瞬前に出てきます。
ほんの少し前にでてから下がりだすんですよね。スペースに出たボールが長くなることも考えられるからその場合飛び出してクリアするため、
というのが一般的に考えられることですがそれにしてはタイミングが遅いような気がする。
ただここで少し前に出ることでポジションを微調整することと、後ろに下がりすぎてこれから起こる1対1で相手にプレッシャーがかからないことを防止しようとした気がするんですよねえ。
これは正直本人に是非聞いてみたいです。聞く機会は訪れない気がしますが。
では次の場面へ
はいすごい!
この瞬間ボールに対して正対する状況を確保しました。
最初に解説した画像は1秒先の未来に向けての布石だったんですね。
これねー下がり方も素晴らしいですよ!
最初ブッフォンのところでボールと並行して、ボールと正対してポジション移動している。
と言いましたよね。
ああすごい。
この難しい状況でもしっかりとボールを並行してポジション移動をして下がってる。
ねえ!!コンサドーレのみなさん!!!コンサドーレがここまで来たのって彼の力が無茶苦茶大きいでしょ!!!いや聞いたことないけど。
分かる!!分かるよ!この選手はすごいよ!!!
195cmの恵まれた体格に長い手足。この身長ですごく動けるし身体能力も高い。
それに加えてこの細やかな神経を使うポジション移動をやってのける。
コンサドーレは絶対彼に何回も何回も助けられてきているはず!!
彼はすごい!
でもまだ解説は続くよ。
湘南の山﨑がボールを持った瞬間。再び体の角度を変えて正対しだすク・ソンユン。
ただ実はちょっとこの状況は危ないです。
ゴールエリアのギリギリに立っているので前に出て勝負するためのスペースがないのです。このスペースで勝負する場合もう手は使えない。
バックステップして勝負するスペースを確保した!!
あぁすごい。本当に細かく細かく準備を重ねているなあ。すごいなあ。
横から見るときちんと勝負するスペースを確保できていることが分かります。
ボールとの距離もいいですよね~。
後ろに下がりすぎると相手にプレッシャーがかからないですから。
でもね。ここからさらにすごいよ。
前に出ました!!!
前に出ることで今度はスペースを埋めにくるク・ソンユン。そのタイミングは山﨑がボールをタッチした瞬間。
タッチするためにボールを見る、その一瞬をついてク・ソンユンは今度は距離を詰めます。
山﨑からするとタッチする瞬間顔を下げる。
顔を上げたらク・ソンユンが間近にいてシュートするスペースや勝負するスペースが消されていたように見えたと思います。
スペースがないので抜きにかかったところを長い足につかまってしまいます。
ああ。細かい。この一瞬に様々な動きが集約されていました。
う~~ん。この状況で入る可能性があるとしたらニアに巻いた早いシュートか、トゥーキックでニアとかかなあ。最後少しだけポジションずれていたし。
でも、可能性はあるけどかなり難しいと思いますね。
正直この場面で山﨑にミスらしいミスはなく、冷静に、繊細に対応をしたク・ソンユンが一枚上手だったといっていいでしょう。
解説動画も用意しました
元々2016年に秋元が抜けたときに僕の中で一番欲しかったキーパーなので、やっぱり今見てもよいキーパーだなあと。
サイズとスケール感を含めてもこのクラスのキーパーはめったにお目にかかれるものではないですからコンサドーレのみなさんは彼を大切にしたほうがよいと思いますよ。
良いものが見られてよかった!!!
解説を終わります。