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たったひとつの俺の愛したクラブ

いつだったか。大雨の試合だったはずだ。

それが俺が湘南ベルマーレを見に行き始めたきっかけだった。

多分15年くらい昔の話。

なんであの時あんな大雨のスタジアムに行ったのか?それは全く覚えていないけれど。

 

たったひとつ。俺の愛したクラブ

俺が出会ったそのクラブは弱くて、本当に弱くて、どんなサッカーをしたいのか?どんなビジョンがあるのかそれはさっぱり分からなかった。

出店もなんにも無い総合公園に行って。負けて、夜になって一層寂しくなった、やっぱり何にもない総合公園を歩いて帰った。

スタジアムに行くとだいたいそんな感じ。

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初めての遠征は車での徳島だった。何故いきなりそんな遠くへ行ったのか?理由はさっぱり分からなかった。

8時間くらいかけてスタジアムについて、90分の試合を見て、真正面のボールをゴールキーパーが後逸して負けて、やっぱり8時間くらいかけて帰った。

帰りはお通夜だった。夏のこの時期、何度も事実上の終戦を告げられた。

ある時初めてクラブカンファレンスに行った。もう白髪になったじいちゃんが叫んでいた。

「このクラブには何があるのか?ビジョンはあるのか?ビジョンがないじゃないか?このクラブが何を目指しているのか?俺には何にも見えないぞ!」

まったく同感だった。俺にもこのクラブが何をしたいのか、本当にさっぱり分からなかったからだ。

2005年。三ツ沢で多くの仲間と別れた。だけどその次の年、痛みを伴ったシーズンで、全く結果は出なかった。

ビジョンが無いと言われても仕方が無い。ただこの頃からクラブは少しづつ変わっていった。

前にボールをつけて、走る。

上田さんから菅野さん。そして反町康治。少しづつ。本当に少しづつ。

湘南というクラブは何かを積み上げ始めた。

2009年。ロスタイムのゴール10度。神に導かれた気がした。あのシーズンはそういうシーズンだった。ついに日本のトップリーグへ駆け上がった。

・・・

しかし、2010年。日本のトップリーグには悪魔が住んでいた。

年間3勝。21戦未勝利。初めて挑んだJ1。あまりにも世界が違いすぎた。

いくらなんでもレベルが違いすぎる。

勝てるイメージなど微塵も湧かなかった。

2010年。J1最下位。

2011年。J214位。

またあの頃に逆戻りするのか。・・・あの暗くて何にもなかったあの頃に。

 

だけど違った。

2012年。チョウ・キジェ。

昔、毎年のように監督を変えていたクラブ。クラブカンファレンスで「変えすぎてオファーを出しても断られてしまう」と冗談のような本当の事を言っていた。

だけど今度は違った。昇格と降格を繰り返しても、絶対に監督を変えなかった。

監督を変える変えないに意味があるというよりも・・・。

なにか信念のような、そう。なにかベルマーレには。ベルマーレにはあの頃なかった信じる何かがあった。だから継続する。これを継続するのだと。信じる何かのために。

その信念のもとに、そのビジョンのもとに、少しづつ、本当に少しづつ、人が、選手が、サポーターがスポンサーが・・・。

あの頃見たかった景色が本当に少しづつ。

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何度も負けて、本当に数え切れないほど負けて。悔しい思いを味わって。

クラブが少しづつ良くなった今でも、なぜだか思い出すのは辛かったあの頃のことばかり。

だけどあの辛かった日々は。俺をこのクラブに引き止め続けるには十分だった。

俺はよそに行くにはあまりにも多くの時間をこのクラブと過ごしすぎた。あまりにも多くの苦しみを味わった。

・・・。

 

2018年。日本のトップリーグに残る戦いと、日本の頂に立つ戦い両方に挑む。

日本のトップリーグに残り。そして頂きを手に入れる。

必ず頂点を手に入れて、その時俺は大声で泣くのだ!あの辛かった日々を思い出して。たったひとつのクラブを愛し続けた日々を思い出して。

俺にはこのクラブさえあれば良い。 たったひとつ。あの日々を思い出せる。

その特権さえあればいい。

 

2018年10月27日。勝負の時。

2018年12月1日。来年もここで戦うために。

 

必ず全てを手に入れる。たったひとつの俺の愛したクラブとともに。