フットサルのゴールキーパーとサッカーのゴールキーパーに相乗効果みたいなものはあるのかな?とふと思いました。
柏レイソルの中村航輔選手のようにフットサルの動きを上手に応用している選手もいますしね。
柏レイソル×湘南ベルマーレ。
— SR (@sr2460) 2016年6月26日
中村航輔①
・パスが出た瞬間に前に詰めればシュートは打たれない
・相手がトラップしたら静止
・外に持ち出した瞬間にさらに詰める
・フットサルゴレイロのように体に当てる
偶然じゃない。必然のセーブ pic.twitter.com/VMEkmbimZO
僕は昔はサッカーのゴールキーパーをやっていましたが今はフットサルのゴールキーパーばかりやっています。
県リーグに所属して本格的にやっているとかではありませんが、フットサルのゴールキーパーをすることでサッカーのゴールキーパーに良い影響があるのか自分なりに考えてみることにしました。
検証してみましょう
1.ポジショニングが向上する
これについては向上すると思います。
現役のゴールキーパーコーチの方も
フットサルの知識はないですがコートが小さくて相手が近い分、サッカー以上に秒単位でポジショニングを修正しなければならないのでGKは大変だと思います。あと至近距離からの強烈シュートが多いので反応スピードが大事になると思います https://t.co/zUUu6J5DIe
— Yoji Yamano/山野陽嗣 (@yoji_yamano) 2015, 4月 7
とおっしゃっていましたが、僕もそう感じます。
フットサルのポジショニングはかなりピーキーです。
例えばサッカーならばただの横パスの距離でもフットサルならサイドチェンジに該当します。つまりキーパーもゴールの端から端に移動しないといけません。
(ゴール自体は小さいですが)
さらにコートの大半がシュートレンジに該当しますからさぼらずに逆サイドにポジションチェンジしないとあっという間にやられます。
フットサルをやるとポジション取りをするのが本当に疲れるのです。
実際サッカー以上の時に比べてポジションどりでやられるということが多くなりました。
2.指示
これも向上すると思います。
先程も話しましたがフットサルの場合、コートのかなりの部分がシュートレンジになります。
これは僕がよくやられるのですが、マークが外れていることを指示しようと、そちらに集中したその瞬間にシュートを打たれてやられたりします。
指示は出さないといけないのですが、シュートを常に警戒しつつやらないといけません。どのタイミングでマークの指示を出すか?どう素早く伝えるか?今は本当にボールから集中を解いていい場面なのか?
こういった部分がサッカーに比べてシビアなので指示の質や判断力が磨かれます。
僕の実力不足もありますが、サッカーの時はマークの指示に関してここまで神経質に考えることはありませんでした。
3.足元の技術
フットサル出身の選手は足技が上手なことが多いです。
ではゴールキーパーの足技が向上するのでしょうか?
向上しそうなイメージはありますがフットサルのルールではバックパスがかなり厳密なので意外と触る機会が無かったりします。
こちらに色々書いてありますが。
ゴレイロへのバックパス フットサルでのゴレイロのバックパスはどれを満... - Yahoo!知恵袋
「ゴールキーパーから出たボールは相手に一度触れない限り再度キーパーにパスは出来ない」
こんなルールになっています。
つまりサッカーのようにゴールキーパーが組立に参加するということが困難なルールになっているのです。
プレイしていて、サッカーからフットサルに軸足を移している人ほどキーパーにバックパスをしない印象があります。
さらにいえばゴールキックがありませんし、ロングフィードをする機会もまれです。パントキックは使っていいのですが、ピッチが小さいので、スローイングの方が効率的です。
こんな風にいろいろ考えると微妙ですねぇ。足元自体は向上するのかもしれませんがロングフィードはあんまり使いませんからねえ。
4.スローイング
フットサルではゴールキックの代わりにスローイングを使います。
そもそもフットサルはゴールキーパーからの速攻が戦術的に非常に重要になってきます。フットサルにはオフサイドがありませんので、キーパーからのロングスロー一本でゴールするなんてこともあります。
ゴールキーパーのスローイングからの攻撃の重要性はサッカーよりも高く、スローイングの技術は常に磨いておく必要があるのです。
スローイングの方法といっても様々ありますが、おおまかには浮き球かゴロです。
下の動画をご覧下さい。
フットサルは肘を曲げるパターンが多いのですが、サッカーは肘を曲げずに腕の遠心力を使って遠くに飛ばすのです。
サッカーボールは大きいので肘を曲げるのは投げにくいですし、そもそも飛距離が出ません。
一方のフットサルはボールが小さく持ちやすいですし、飛距離もサッカーほどは必要ではありません。
ですから肘を曲げて投げているのです。
ただフットサルはスローの重要性が高いですし、ゴロのスローなんかもよく使うので、上達はすると思います。
5.ハイボール
サッカーに比べるとフットサルはハイボールを処理する場面が少ないんですよね。
クロスボールが来ないんですから上達しにくいと思います。
6.セービング
フットサルの知識はないですがコートが小さくて相手が近い分、サッカー以上に秒単位でポジショニングを修正しなければならないのでGKは大変だと思います。あと至近距離からの強烈シュートが多いので反応スピードが大事になると思います https://t.co/zUUu6J5DIe
— Yoji Yamano/山野陽嗣 (@yoji_yamano) 2015, 4月 7
先程のツイートであったように至近距離からの強烈シュートが多いので、反射速度は鍛えられると思います。
ただしセービングについて、フットサルとサッカーではだいぶ考え方が違います。
このセーブ集を見るとわかるんですが、低いボールに対して足で止めに行っています。これは球のスピードが早すぎて低いボールに飛びついている間にゴールに入ってしまうからなんですね。
サッカーでは基本的に手でセービングしに行きますから低いボールのセービングは向上しにくいと思います。
それどころかフットサルの練習をしすぎると低いボール全てに足で行く癖がついてしまう可能性があるので、弊害があるとも言えます。
また、山野さんが紹介している
セービングの飛距離を伸ばしたいのであれば、こちらのバイエルンの練習を参考にして下さい。シンプルですが効果的。またノイアーのジャンプの方向、着地と起き上がり方など勉強になる事がたくさん⇒https://t.co/AqAveBWJDC https://t.co/vNaMVDiGce
— Yoji Yamano/山野陽嗣 (@yoji_yamano) 2015, 4月 7
のような練習ですが、フットサルのゴールは狭いですので飛距離のあるセービング自体がほとんど必要ありません。
そもそもシュートストップの考え方自体が異なっていますよね。
なにかいい資料がないかと思ったら
http://ja.twtrland.com/profile/almeidasergiojj
こんなことをつぶやいている方がいらっしゃいまして、
これはサッカーとはだいぶ考え方が違いますし、サッカーでは基本的にこんなフォームで守りませんね。ですのでセービングに関してはフットサルの動きを覚えすぎるとサッカーで必要な動きに悪影響が出てしまう可能性があります。
ただし1対1に関しては最初に書いた中村航輔選手のように良い相乗効果が期待できそうです。
7.キャッチング
先ほど書いたようにフットサルのゴールキーパーは体全体でボールを止めることが多いです。キャッチングはサッカーより使わないです。
また、これはあくまで僕の経験ですがフットサルのボールとサッカーのボールの大きさが違うのでキャッチミスをすることが・・・。
僕はすでにサッカーボールの大きさに慣れてしまっているのでフットサルのボールを取る時と同じ手の構えをしてしまうとうまく取れなかったのです。
手が大きい方なら問題ないかもしれないですが、サッカーのキャッチの型ができているのに無理にフットサルに対応しようとすると、逆にサッカーに悪影響が出るかもしれません。
(僕は時に手が小さいのですごく苦労しました)
8.守備範囲
フットサルのコートは小さいから守備範囲が狭くなる・・・と一概には言えないのですが、飛び出そうと思ったらできなかったということがよくあります。
と・・・いうか下の図の黒まるのところをよく使ってくるんですよ。
サッカーなら飛び出して取れると思っているタイミングでもフットサルだとエリア外なので飛び出せない。こんな経験が結構あります。
守備範囲の広さに自信がある方がフットサルの感覚に慣れてしまうとその長所が失われてしまうなんて可能性もあるかも・・・。
総括としてフットサルのゴールキーパー(実はフットサルではゴレイロと呼びます)の練習をしすぎてしまうとサッカーの動きに悪影響が出る可能性があります。
僕はすでにフットサルばかりやっているのですが、フットサルのゴレイロとしての練習に踏み切れない理由が、この点にあります。
ですからフットサルの経験は一概にサッカーのゴールキーパーとしての実力向上になるというよりは気をつけて練習しないと変な癖がついてしまう可能性があると言えるでしょう。ですからフットサルをやるときは、あくまでサッカーのゴールキーパーとしての動きの範囲内でプレイすると良いのではないでしょうか。
しかしサッカーのゴールキーパーからフットサルのゴールキーパーに転向するケースは多いので、完全に転向するならば話は変わってくると思います。
余談ですが、マンチェスターUでも活躍したピーター・シュマイケルという選手がいるんですが、
彼はハンドボールの出身のゴールキーパーなんですよ。
wikiにも
元々ハンドボールのキーパーだったが(片足を上げながらのセービングなど度々ハンドボールの技術を応用したセービングを見せている)、スカウトされてサッカーに転向する。
ちなみに片足上げセーブはジャンプしながら片足を上げて壁を作るような動き
超絶分かりにくいですが3秒あたりに一瞬映る動き。確かにやっています。
これほどのゴールキーパーが実はハンドボール出身なのです。
これは転向したというケースですが、今後研究が進めばフットサルとサッカーの両方をプレーすることで相乗効果が望めるトレーニングや理論が登場するかもしれません。というか僕が知らないだけでそういうものは存在するかも!?
僕もサッカーとフットサル両方を楽しみたいので、もしそういうものができたら嬉しいですね。