遠藤航。永木亮太。秋元陽太。古林将太
今シーズンのオフは非常に厳しいものになっている。ただ強化部も仕事を放棄しているわけではない。
強化方針の中に新卒採用は2,3年後を考えて編成しているという言葉がある。
今回は2016シーズンの戦力と今後について考えてみようと思う。
時代は2011年組から2014年組へ
新卒採用は2,3年後を考えて編成している。これは低予算でもなぜ強い? 湘南ベルマーレと日本サッカーの現在地のp160にも書いている。
湘南ベルマーレの2011年の新卒選手を見てみるとソン・ハンキ、遠藤航、永木亮太、岩尾憲、 高山薫となっておりここ数年の躍進を支えていった世代となっていた。
Jリーグ 2011年 湘南ベルマーレ・メンバー ― スポニチ Sponichi Annex サッカー
次に豊作だったのが2014年組。新卒の梶川裕嗣、菊地俊介、三竿雄斗、福岡将太、 石川俊輝、宮市剛そして安東輝だ。
Jリーグ 2014年 湘南ベルマーレ・メンバー ― スポニチ Sponichi Annex サッカー
移籍などがあり2011年組は高山薫ひとりとなってしまった。彼がキャプテンとなり、さらに2014年組が副キャプテンを務めることになった。
今年から彼らを中心とした次のサイクルに入るということだろう。
まずは今年抜けたレギュラークラスの選手のポジションについて見てみることにする。
実は最激戦区だったボランチ。石川俊輝に期待
永木亮太が抜けてしまったボランチだがよく見ていくと激戦区だ。
2016年シーズンに永木亮太のかわりを務めるのはおそらく石川俊輝になる。
下田北斗、パウリーニョと知名度のある選手が入ったが石川のポテンシャルは高い。
まだ他のクラブのサポーターに知られていないだけなのだ。
ハードワークできるのはもちろんだがテクニックは永木を超えている。
永木と似たようなタイプの選手なので彼の穴を埋めるのにこれ以上の人材はいない。
過大評価と思われる方もいるかもしれないが、彼の才能が今シーズン一気に知られるようになるはずだ。
2014年は豊作だった。今年多くのサポーターがその本当の意味を知る事になるだろう。
また、さらに下の世代に目を向けるとツエーゲン金沢にステップアップした安東輝。
(彼も2014年入団組だ)
そのさらに下の世代に齊藤未月。永木亮太が抜けたのは痛いがこのポジションは有望な選手が集中していた。石川や菊地もまだ若く、このポジションは人が余ってしまうのではないかと心配していたのも事実だ。
今年。このポジションのせいでチームが壊れることはまずないであろう。
遠藤航の後継者
遠藤航の後継者。
これはなかなか頭の痛い問題だが、2015年入団組の岡崎亮平しかいないと思っている。185cm 78kgの恵まれた体格に跳躍力とスピードも備えている。たしかに遠藤航が抜けた穴は小さくないのだがポテンシャルなら岡崎はものすごいものを持っている。
また、坪井慶介と島村毅のベテラン勢はここに頼もしさを増している。
彼らは攻撃力は遠藤に劣るが守るという点に関してはJ1でも問題ない。
大崩れはしないはずだ。
そして彼らが健在なうちになんとしても岡崎に独り立ちして欲しい。
遠藤航を越える。それは岡崎亮平以外ありえない。その素質はもっている。
古林将太の後継者
古林将太が抜けたポジションだが実は層が厚い。
右のWBなら藤田征也、奈良輪雄太。ともにJ1でも実績がある選手だ。
シャドーはもっと激戦区だ。大竹洋平、山田直輝、端戸仁、高山薫。
キリノもシャドーは出来る。
さらに見ていくと将来についてもきちんと考えて編成がなされている。
2016年入団組は桐蔭横浜大から山根視来。そして青森山田高校から神谷優太が加入した。おそらくシャドーかWBでポジションを争うことになるだろう。
新卒採用は2,3年後を考えて編成しているという言葉をきちんと実行している。
彼らに将来古林を越える活躍を期待したい。
秋元陽太の後継者
ゴールキーパー。もしもチームが今年壊れるとしたらここだ。
第1、第2ゴールキーパーが抜けてしまったのは流石に痛い。
村山については下の記事で書いたとおりの印象。
松本山雅FCから湘南ベルマーレに移籍した村山智彦選手。プレー集及び感想
それはいいのだがベラピの実力がわからない。
3分くらいのプレー集を見たがあれで判断するのは不可能だ。
本当にここだけはよくわからない要素が多いので心配ではある。
逆に言えばここさえしっかりしてくれれば今年はまず大丈夫だ。
また将来についてベルマーレはきちんとした考え方をもっている。
それはゴールキーパーを育てる、という考え方だ。
そもそもJ1クラスの日本人ゴールキーパーというのは18人もいないのではないかと思う事がある。人材不足。絶対数が足りないのだ。
ベルマーレのようなクラブがJ1でやっていくためにはそもそもの数が足りないというのは致命的なことだ。
またゴールキーパーは戦術で弱点をカバーするという方法は難しいポジションだ。
このポジションがネックになって低迷する。これは大いにありえる話なのだ。
だから湘南ベルマーレは育てる、という道を選んだ。
2013年にスペイン人のジョアン・ミレッをアカデミーGKプロジェクトリーダーに招聘。
アカデミーGKプロジェクトリーダーにジョアン・ミレッ氏 招聘のお知らせ « 湘南ベルマーレ公式サイト
将来的にはジョアン・ミレッに指導を受けたゴールキーパー達が・・・と期待している。ただしそれはもう少し先のことだ。
今年はとにかく今いるゴールキーパー陣に期待するしかない。
ゴールキーパーはユースから。そこまで凌ぎきれるかどうかはものすごく重要になってくる。数年は補強や新卒選手を使ってうまく舵取りをして欲しい。
1サイクルをいかに長くできるか。一層のサポートが求められる
人気選手を放出しフロントを批判したくなるかもしれないが対策自体はしている。
はっきり言って来年はなんとかなる。抜けた選手とよく似たタイプの選手を上手く補強している。動きも早かった。
ここで忘れてはいけないのは去っていった選手たちの貢献だ。
永木亮太や遠藤航はデビュー年を含めると6年間クラブに在籍してくれた。次の世代を編成する時間が十分に確保できた。
また彼らは移籍金を残してくれた。もしも0円で出て行かれたらこの編成は不可能だったであろう。恨む気持ちもわかるが僕は感謝したいと思っている。
今回は長い間選手が残ってくれたことで育成も含めた対策がきちんとできているのだ。
三竿雄斗。菊地俊介といった2014年組が残ったのも非常に大きい。
しかし懸念材料がある。
クラブがJ1に昇格したことで人材流出のサイクルが加速する可能性が高い。
今まで永木亮太の影に隠れていた石川俊輝が来年はビッグクラブから引き合いを受けている。こういう可能性は低くない。
J1でできる選手だとわかれば資金力のあるクラブは容赦なく獲得を狙ってくる。
活躍したそばから選手が引き抜かれるとなるとサイクルが早すぎる。次の選手が育つまで持たない。
ベルマーレはJ1定着、そして上位を目指すためにここを越えなければならないのだ。
ある程度の期間、選手をプロテクトするにはどうするか?
その答えは資金力だ。真壁会長も「いつまでも小さなクラブに甘んじるつもりはない」と話していたがそのためにスタジアムなり責任企業なりの問題にケリをつけないといけないということだ。
ここをサポーターとクラブが一体となって乗り越えなくてはならない。
もちろんフロントの努力は重要だ。しかしサポーターも今こそ頑張りどころのはずだ。
サポーター一人一人のできることは多くないのかもしれない。
しかしすこしでも自分の出来ることをやっていかなくてはならないだろう。
応援すること。友達を連れて行くこと。SNSで魅力を発信すること。お金を出すこと。
すべて意味のあることのはずだ。スタジアム問題について懸命に頑張っているサポーターもいる。ベルマーレのスタジアムに投資したい責任企業について投資したい。そういう魅力のあるクラブにしていかなくてはならない。
それが必ずベルマーレの未来につながるのだと信じて進んでいこう。