FC東京→ 大分トリニータ→FC東京→柏レイソル→湘南ベルマーレ→ヴァンフォーレ甲府 →ジュビロ磐田→松本山雅FC
2008年に湘南ベルマーレに
阿部吉朗が湘南ベルマーレに来たのは2008年のこと。
2008年はエース石原直樹が成長し、ストライカーとしてリンコンを補強した年だったので僕にとって阿部ちゃんはそれほど注目している選手ではありませんでした。
実際に見た時に良い選手だなあとは思いましたが、その年6得点。絶対的なレギュラーという感じでもありませんでした。
記憶に残るゴールを決め続けた2009年
ベルマーレにとって大きな転換点を迎える2009年。
その年の最初のゴールを決めたのは阿部ちゃんでした。
チームは快進撃を続け、阿部ちゃんも活躍。しかしこの年は中村祐也が大ブレイク。
阿部ちゃんは貴重な戦力だったもののエースは中村祐也というのが僕の正直な感想でした。
しかし阿部ちゃんは記憶に残るゴールを決め続けます。
シーズン終盤。第48節東京ヴェルディ戦。終了間際でありながら1-2。敗色濃厚。
ダメか・・・。メインスタンドで見ていた僕は弱気になっていました。
しかしその空気を打ち破る阿部ちゃんの一撃!
ギリギリの時間での同点劇。そしてその数分後に3位ヴァンフォーレ甲府敗れるの報!
勝点91。たった得失点1の差ながらベルマーレが3位に浮上します。
そして次節は甲府との直接対決。ビッグマッチを前に勝ち点という意味でも勇気という意味でも本当に大きな得点を阿部ちゃんが決めてくれました。
(多分この時系列で間違いないと思います。相当前のことなので間違いがあるかもしれませんけれど・・・)
・・・
第49節。湘南ベルマーレ対ヴァンフォーレ甲府。今や伝説となった小瀬決戦の日。
湘南ベルマーレ史に残る試合のスターティングメンバーに阿部吉朗の名前はありませんでした。この日の先発はベルマーレのエースでありライバルでもある中村祐也。
阿部ちゃんがこの時どう思っていたのかはわかりません。ただ僕自身も祐也が先発だろうと思っていましたし、この年のエースは間違いな中村祐也でした。
試合は3-2でベルマーレの勝利。歴史に残る死闘に阿部ちゃん自身も途中出場で勝利に貢献しました。
・・・
J2最終節。勝てば昇格決定という大一番。水戸に向かう車の中で僕はその情報を知りました。中村祐也の名前が無い。ベンチにもいない。
あとで知った話ですが急な発熱で試合に出られる状態ではなかったそうです。
代わりにスタメンを務めるのは阿部吉朗。しかし僕は大一番にエースがいない不安を抱えていました。
その予感が当たったのか、20分、21分に連続失点。ベルマーレは昇格できないのか。ここまで来て・・・。やっぱりだめなのか。・・・頭が真っ白になりました。
しかしここからベルマーレが底力を見せます。
30分。寺川のクロス。飛び込んだのは阿部ちゃん。これはキーパーに防がれるものの田原が押し込み1点差に。
そして34分。フリーキック。飛び込む!混戦!だけど!入った!入った!
誰だ!?決めたのは阿部ちゃん。阿部ちゃんだ!!阿部ちゃんのゴールでついに同点に。だけど他会場では甲府が勝っている。あと一点。あと一点。
・・・猛攻をしかけるベルマーレ。
53分。坂本からのクロスボール。バックスタンドから見つめる僕の視線の先に、完全にフリーになった男の背中。背番号11。
ふわりと体を浮かす。・・・そして地面に着地。
ボールはネットに吸い込まれていました。
ゴール裏に走り出す阿部ちゃん。そして叫ぶ!!すこし遠くから見ていた僕にはあれは歓喜というより・・・。
歓喜というよりも「俺はここにいるぞ」とベルマーレサポーターに自分の存在を誇示しているかのように見えました。
J2第51節。長い戦いの末に湘南ベルマーレはついに悲願のJ1昇格を果たす
すごさを知った2010年
水戸戦で勝利し見事昇格を勝ち取った湘南ベルマーレ。
しかしJ1はあまりに厳しい場所でした。年間3勝。ボロボロにされたクラブでしたが、阿部ちゃんは違いました。
あのチーム状況でありながら9得点。
川崎フロンターレ戦のオーバーヘッド
ガンバ大阪戦の素晴らしいゴール
あのチーム状況で奮闘し続ける阿部ちゃんを見て、僕はやっと阿部ちゃんのすごさに気がつきました。ああ・・・彼は・・・彼はJ1の選手なんだ。
彼は偉大なストライカーなんだ。
偉大なストライカー阿部吉朗
2015年。6月27日。アルウィン。湘南ベルマーレ対松本山雅FC。
78分にアルウィンの大歓声につつまれて阿部吉朗がピッチに出てきました。
今度は敵チームの選手として。
87分。オビナの折り返し。そこに飛び込む緑の影。
やられた・・・。これで試合は振り出しに・・・。
決めたのは・・・阿部吉朗。
逆転を信じベルマーレのチャントを歌いながら心の片隅で思いました。
「ああ・・・やっぱり阿部ちゃんはすごかった。あれから5年の時間が経っても、やっぱり阿部ちゃんは偉大なストライカーのままだった・・・。」
・・・
僕の中で最後まで阿部ちゃんは偉大なストライカーのままでした。
だからまだ全然できると思ってしまいます。引退ははやいぞ・・・とも。
でも・・・惜しいけど阿部ちゃんがそう言うなら仕方ない。
だから言わせてください。
いままで本当にお疲れ様でした。そして・・・本当にどうもありがとう。