「あのコバショーという選手はどこがいいところなの?」
今年からベルマーレの試合を観るようになった友人が呟いた言葉だった。
・・・
「あのな・・・コバショーは必ず復活するんだよ」
期待以上だった2013年。
2013年。プレシーズンマッチ大宮戦。
古林将太のプレーに驚いたのを覚えている。2012年にJ2で2位になり望んだ2013年のJ1。左WBの高山薫はJ1でも通用するだろうが右WBの古林はまだJ1は早いかも知れない。そう思っていたからだ。
しかしプレシーズンマッチとはいえ大宮戦の出来はその考えを改めるには十分なものだった。
事実2013年のJ1では夏場コンディションを落としたように見えたもののJ1でも奮闘。
チームは降格してしまったが翌年以降のさらなる活躍を予感させるパフォーマンスだった。
2014年右ヒザ前十字靭帯
2014年。シーズン前のトルコキャンプでは古林将太の調子が非常に良いという情報が流れてきた。開幕直前のベルマーレワンダーランドで本人に直接話した時も「コンディションがいい」と語ってくれていた。
さらに進化したコバショーが見られる。そう確信したところだった・・・しかし
2014.03.04
古林将太選手 負傷に関するお知らせ
古林将太選手(MF:NO.5)が2月26日(水)の練習中に負傷いたしました。
下記のとおり診断結果をお知らせいたします。
◆負傷状況
右ヒザ 前十字靭帯 断裂
◆全治
7ヵ月(予定)
右ヒザ前十字靭帯断裂。全治7ヶ月。
信じられなかった。「ついこの間元気な姿で俺と話したじゃないか!」
大怪我を乗り越えて復活した選手。さらに強くなった選手はいる。しかし大怪我をして競技人生が狂った例も多く存在する。
コバショーがそうならないことを祈るしかなかった。
2014年終盤に復活。しかしコンディションはなかなか上がらなかった
2014年11月15日。横浜FC戦。出場時間2分。
2014年11月23日 大分トリニータ戦。出場時間22分。
これが2014年古林のリーグ戦出場全記録である。まだまだ本来の動きには程遠かったがとにかく戻ってこられて良かった。とりあえず安心。
しかし現実はそこまで甘くなかった。
2015年。古林にとっても湘南ベルマーレにとっても三度目のJ1。
チームはかつてない好成績をあげていたが古林のコンディションはなかなか上がらなかった。ネットなどで批判されることも多かった。「なぜコバショーを使う!」「コバショーはもうダメだ!」「コバショーもう終わった」
そんなはずはない。同じケガを負った大竹洋平も苦労したが今では素晴らしいプレーをしている。前十字靭帯断裂はそんなに簡単じゃない!時間が必要なんだ!
古林将太は必ず復活するんだよ!どうして信じてやれないんだ!
松本山雅戦のスーパーゴール。そして復活した古林将太
今までにない成績を上げているとはいえ2連敗を喫し、決して楽観できるような状況ではない中迎えたアウェイ松本山雅戦。
負ければ残留争いに巻き込まれる可能性もある重要な試合だった。
この日先発に入ったのは普段先発で出ている藤田征也ではなく古林将太。
押し気味でゲームを進めるも時折松本のパワーのある攻撃を受けどちらに転がるかわからない試合展開。
そして後半、相手にPKを与え先制点を奪われてしまう。
奪われてしまった先制点。オウンゴールで同点に追いついたもののホームの大応援団を背に松本は一歩もひるまない。この流れはまずい。そう思った。
しかしここでチームを救ったのは今シーズン苦しみ続けたコバショーだった。
右サイドでボールを受ける。そのまま中にカットイン。シュートフェイントからさらに中へ。放たれたシュートは利き足でない左足だった。
キーパー村山の手をすり抜け待っていたのは復活の狼煙となる素晴らしいゴールだった。
現地で思わず周りに確認した。そして叫んだ!
「コバショーだよね!?そうだよね!コバショー!!コバショー!!コバショー!!!!!コバショー!!!!」
見たか!これが古林将太だ!誰だ!終わったなんて言った奴は!コバショーは終わってなんかいない!古林将太は必ず復活するんだ!!
2015/6/27。大アウェイのアルウィンで復活の狼煙となるゴールを決める
この試合以降古林は出場機会を増やしていくことになる。
どんどんよくなるプレーにいつしか批判的な言葉は消えていった。
ある日「あのコバショーという選手はどこがいいところなの?」と言った友人がこういった。
「コバショー調子いいね!コバショーすごいね!」
「そうだよ!コバショーはすごいんだよ!」
嬉しかった。古林将太は必ず復活する。そして古林将太はピッチを躍動する。
これからもずっと。