僕はセレッソ大阪の岡野社長のことを評価していました。
コツコツと育成をし魅力的な選手を育てたセレッソ大阪。ついにその投資を回収する時期に入った、実りの季節はまさにこれからでした。
育成は短くても10年以上辛抱しなくては回収ができない部門。
その長年の努力を、関係者の積年の思いを、たった一年でぶち壊したのが岡野社長でした。
しかし、それでも僕はこの社長を評価していました。
・・・彼が辞任するまでは。
僕が岡野社長を評価した一番の理由はその野心
大物外国人が来なくなって久しいJリーグ。
ACLでも勝てず、観客動員も伸び悩み。
どこか閉塞感が漂っていました。
それを打ち破ったのが岡野社長。
W杯得点王のディエゴ・フォルランを獲得し、人気の上昇していたセレッソ大阪の魅力をさらに拡大させました。
その人気は他クラブの動員にもつながり、Jリーグ全体に特需が訪れました。
また、アジア戦略にも積極的でセレッソ大阪を使って東南アジアなどに攻勢をかけていました。
このような野心はまさに近年のJリーグには見られなかったもので、僕はこれを最大限に評価していました。
しかし成績は低迷
一方でセレッソ大阪の成績は低迷していきました。
フォルラン獲得費用を捻出するために、シンプリシオ、クルピといった重要な人材と契約を結ばなかったこと、さらにフォルランとプレーエリアがかぶる柿谷が完全にフォルランに点を取らせるためのフォロー役に回ってしまったこと。
結局セレッソ一筋だった柿谷が移籍してしまったことで、成績はさらに低迷し、岡野社長の野望は音を立てて崩れていきました。
岡野社長は全く責任をとっていない。
J1・C大阪の岡野社長辞任へ/サッカー/デイリースポーツ online
この状態を立て直せないままセレッソ大阪は混迷を極めます。
伝わってくるのはチームがバラバラになってしまったという風評ばかり。
そして第33節には無念の降格。
それでも僕は岡野社長を評価するつもりでした。
彼が辞任するということを知るまでは。
今年セレッソが降格した原因は、シンプリシオ、クルピを放出したこと。
つまり金銭的にフォルランを獲得できるような体力がなかったことが降格に結びつきました。
この問題を解決するのは簡単なこと。
フォルランのような大物を獲得した上で、シンプリシオやクルピのような重要なキーマンを残すことです。
しかし今のセレッソにその体力はありません。
よってそれを実行できる方法はただひとつ。
ヤンマーに資金を投入させることなのです。
ヤンマーにセレッソ大阪の未来、可能性を雄弁に語り、更なる大物の獲得した上で大型補強の直談判をする。
セレッソ大阪は宝だと、必ず投資に見合ったリターンを約束すると、力ずくでヤンマーを納得させに行かなければならなかった。
絶大な人気を誇る柿谷曜一朗をバーゼルから連れ戻すような、それほどのリーダーシップと野心を示さなければならなかった。
10年来におけるクラブの努力、悲願をたった一年で壊した岡野社長。
彼ができる責任の取り方は、それでも雄弁に野心を語りそれを実行に移す、それだけしかなかったのではないかと思っています。